自己嫌悪
僕はどうもいけない。無職のくせに、金に汚い。女にも汚くて、その上キザったらしくていけない。不幸話で人の同情心を買うのはいいが、他人の身の上はてんで興味がなくていけない。不細工なくせに、妙に自分に自信を持っていて、この男は女を自分のロマンスの道具にしか思ってないんじゃないか。そんなことはない。女がいなくては自尊心が保てず、孤独にも堪えられず、けれども釣った魚には餌をやらない。自分勝手でいけない。死にたい死にたいと他人の気を引くが、死ぬ気などさらさらなく、ただ、他人に心配してもらいたいだけで、これもいけない。この男は自己というものがなく、うそひゃっぱちを並べ、口先だけで生きている。小賢しい。一言で言えば卑怯だ。臆病だ。仙人風を気取っているが、他人の風評などが大好きで、他人の不幸を見つけては、甘い蜜を舐める。どうしようもなく気取り屋が嫌いなのだが、自分が一番の気取り屋だから始末が悪い。自分のことをモブキャラだと他人に吹聴するが、それは謙虚さを見せつけるためで、自分のことは主人公だと思っている。何も成し遂げたことがないのに、努力している人のことを嘲笑い、冷笑し、まるで自分が一番偉いかのように寸評をする。動物的に生きている人のことを笑うが、自分は意識の過剰に悩まされ、死を思っては苦悩する。こんな男は死んだほうが世のためだ。
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