相関主義 物自体 真理 慈悲 | 人生入門

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相関主義 物自体 真理 慈悲

 最近の哲学は、相関主義を批判するのがトレンドらしい。相関主義というのは世界は人間との相関としか現れないと主張する主義だ。カントがその典型で、カントは物自体は認識できず、人間の「主観」と相関している「現象」しか認識できないとした。最近はそれが人間中心主義だと異を唱える人が増えてきて、新実在論と言われている。

 仏教は、相関主義である。仏教は、西洋哲学のカテゴリーでいうと「言語的観念論」と言ってもいいかもしれない。「言語」という本当は存在しないものによって、世界が、自己が、区切られている。「欲望的観念論」と言っていいかもしれない。煩悩という原理によって、世界を区切る。この世界を区切る働きを「パパンチャ」という。この言語や煩悩と言ったパパンチャを滅して、「あるがまま」の世界を見るのが仏教である。

 僕は基本的に、相関主義は正しいと思う。世界は「僕にとって」の世界でしかなく、その「僕」が滅すると、「あるがまま」の風景が見えるのだと思う。そしてその「あるがまま」が真理そのもので、人間の出会うべきものだと考える。人間はこれに会うために生まれてきた。

 パパンチャを滅して「真如(真に如実であるもの)」の風景を直接見る事の出来る人もいるだろうが、真如へ至るには二つの道がある。自己→真如 という道と 真如→自己 という道がある。この「本当」が向こうからやってくる道を浄土門という。

 カントの衣鉢を継いだショーペンハウアーは、この相関の先にある「あるがまま」を「荒れ狂う意志」と直感したが、僕はそれを間違いだと思う。そこにあるのは慈悲だ。

 新実在論は、相関主義を批判することによって、哲学に神学的な次元を取り戻そうとする運動らしいが、「相関」の向こう側へ行く、「相関」の向こう側が来る、というほうが神的な、絶対的な次元は開かれると思う。
煩悩にまなこさへられて 摂取の光明みざれども 大悲ものうきことなくて つねにわが身をてらすなり—————親鸞

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