信仰は霊性の実験である 諸君、実験すべし | 人生入門

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再来年中に読むもの
イタリア現代思想 アドルノ ヤスパース

信仰は霊性の実験である 諸君、実験すべし

 カトリック信者の、「霊性の哲学」という本を数か月前に読んだ。鈴木大拙の「日本的霊性」を読んだのは、二年前ぐらいだろうか。「霊性」という言葉に、惹かれている。
 霊性という言葉は、永遠性とか、スピリチュアリティとか、いろいろ言い換えられるんだろうけれど、僕は「霊性」が一番しっくり来る。鈴木大拙によると、知性と感性の「奥」というか、それを包んでいるようなものが「霊性」であるらしい。西田幾多郎は、たしかどこかで「宗教とは霊性的な事実である」というようなことを書いていた気がする。
 「霊性の哲学」には、弁栄から、柳宗悦、井筒俊彦のような、霊性の探求者が、列挙されていた。著者はカトリックということで、他宗教には寛容な精神で、霊性の歴史というものをたどったのだと思う。多様な宗教から、「霊性」というコアを引き抜いて考察するのは、たしかに意義深いことだ。
 現代人に、なるべく胡散臭くないように、宗教を語るには「霊性的な事実」と語るのが良いのではないかと思う。「霊性」というのは、浄土教でもキリスト教でも禅宗でも見られる普遍的な現象であるから、相対主義的に信仰を懐疑している人には、そういえばいいんじゃないかと思う。
 極端なことを言えば、脳みその中には「ゴッドスポット」という、電気刺激をすると信仰心が異常に高まる部位があるらしい。どの精神現象にも、物質的なものは随伴しているのは当たり前なので、これを持って信仰をニューロンに還元するのは愚かだけれど、この「ゴッドスポット」を「霊性」とか「仏性」とか言えば、現代人にも受け入れやすいんじゃないか。
 僕は科学主義者である。だから、信仰上の実験をしている。その結果、確かに「霊性」というものに触れることができた。そして、その霊性が、人生や心を豊かにして、人生の根本問題の解決をもたらすものであることが分かった。これは僕の実験である。疑っている人は、自分で実験してみたらいい。清沢満之風に言うと、霊性は「主観的な事実」である。僕の主観にペットボトルがうつっているように、僕の主観に霊性が宿っている。

 これは少し問題含みの表現だが、人間の「霊性」を開花させるために、宗教というものがある、と考えたらどうか?人間の「霊性」「仏性」を開くために、キリストやお釈迦様が現れた。

霊性に触れることのメリットを箇条書きにしてみる
1、喜びが溢れてくる。理由のない多幸感。
2、死の恐怖の薄れ
3、ともに悲しんでくれる超越者がいる
4、同行と喜びを分かち合える
5、孤独感の薄れ
6、世界が広く感じられる

デメリット
1、霊性を開花させるまでの苦労(個人差はあるだろうけれど)
2、宗教に理解のない人から叩かれる
価値観を強制的に植え付けられるとか、戒律があるとか、そういうのは一切ない。僕は信仰をしているけれど、自由に哲学をして、己の価値観を磨いている。

 僕にとって幸福だったのは、科学主義である「近代」を乗り越えようとしている哲学を摂取していたことだと思う。現代人のほとんどは唯物論者で、心はニューロンに解消されると思っているだろうけれど、哲学的に、そのテーゼは穴だらけだ。最近読んでいるハイデガーにもそういうことが書かれてあるし、最近の本だとマルクス・ガブリエルが、唯物論批判をしている。現代人の信仰への「つまずき」は、「科学主義」を誇る「頭」を、下げられないことだと思う。科学という真理を知った「頭」を、何かにさげたくない。唯物論的な世界観で、快楽主義的な主人公になりたい。そういう気持ちだと思う。そういう人は「「私」は脳ではない」を読んだらいい。

 僕が浄土真宗の勉強を始めたころは、ユーチューブにお説教がアップされていることはほとんどなかったのだけれど、最近急に、良質の動画がアップされるようになった。僕は寺に1円も払ったことがない。無料で幸福度があがる「しかけ」が、何千年も前から開発されているから、それを有効活用してほしい。

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