松並松五郎さんという念仏者の語録を読んだ。印象に残ったエピソードがあった。
親も息子も亡くしているけれど、人間の命はローソクの火と同じように無になると思っているおじいさんが、松並松五郎さんに、「地獄や極楽はあるのでしょうか」と尋ねる。すると、松五郎さん、「あります」と即答。「なぜか」とおじいさん。「人間と牛は人間道と畜生道の二つの違う道にいるのは御存じでしょう。牛は人間の知識を知らない。それと同じように、人間同士でも、小学生は中学生の知識が分からないし、中学生は大学生の知識は分からない。52段の悟りを開いた仏様(悟りには52段階ある。お釈迦様は52段目の悟りを開いた)の仰ることをそのまま聞いてはどうか。私らはウソを言うもの、仏は智慧と慈悲の塊で、決して嘘をおっしゃらない。」
自分より優れた人の言葉を、そのまま聞く。自分の知識や理性を崇めている近代人への解毒剤。
「よき人」の仰せを謙虚に、そのまま聞く。自分ファーストで自分が一番偉いと思っている現代日本人には難しい。
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