死の匂い | 人生入門

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哲学書読書計画
今まで読んだもの
丸山圭三郎 プラトン アリストテレス エピクテトス デカルト ロック バークリー ヒューム スピノザ ラカン ニーチェ パスカル キルケゴール ショーペンハウアー ハイデガー ウィトゲンシュタイン プロティノス 龍樹 孔子 老子 荘子 クリシュナムルティ マルクス・ガブリエル マックス・シュティルナー ウィリアム・ジェイムズ シオラン ベルクソン ライプニッツ 九鬼周造 カント シェリング 波多野精一 メルロ・ポンティ ニーチェ ヘーゲル マルクス サルトル レヴィナス

今年と来年中に読むもの
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再来年中に読むもの
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死の匂い

 僕は今まで三つの死を経験した。自分の死。母親の死。祖父の死。自分の死は想像でしかないけれど、一番恐ろしいものだ。それ以外に死の匂いを強烈に感じ取ったエピソードがある。

 まだ10代で、呼吸器科に入院していたころ、僕は毎日3階から1階へ降りて、レントゲンを撮っていた。肺が膨らんでいるか検査するためだ。レントゲン室に人がたくさんいて待ち時間が多い日と、客が僕一人だけですぐ帰れる日があった。その日はたくさんの老人がいて、ぼくは30分ほど待っていた。老人の声が聞こえてくる。
 「〇〇さんなあ、手術もうできんのやて。もう手術しても意味ないらしい」
 聞きたくなかった。「手術ができない」という概念がまだ頭になかった。手術は「できるもの」だと思っていた。もう手術ができないと伝えられたその人はどんな気持ちだったのだろう。手術ができずに病室でずっと死を待っているその人はどんな気持ちだろう。

 僕らはいずれ「手術ができなく」なる。母親も癌が発見された時はもう手術ができなくなっていた。
 今もこの話を思い出すと胸の奥にツンとしたものを感じるほどなのだから、よっぽど死の匂いを感じたのだと思う。

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