空論 魔王 | 人生入門

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哲学書読書計画
今まで読んだもの
丸山圭三郎 プラトン アリストテレス エピクテトス デカルト ロック バークリー ヒューム スピノザ ラカン ニーチェ パスカル キルケゴール ショーペンハウアー ハイデガー ウィトゲンシュタイン プロティノス 龍樹 孔子 老子 荘子 クリシュナムルティ マルクス・ガブリエル マックス・シュティルナー ウィリアム・ジェイムズ シオラン ベルクソン ライプニッツ 九鬼周造 カント シェリング 波多野精一 メルロ・ポンティ ニーチェ ヘーゲル マルクス サルトル レヴィナス

今年と来年中に読むもの
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再来年中に読むもの
イタリア現代思想 アドルノ ヤスパース

空論 魔王

 まいにちまいにち凄まじい量の「お喋り」を目にする。今日は「負の性欲」というものについて、喧しくお喋り(議論という言葉を使いたくない)が行われていた。負の性欲というのは「この異性とは子孫を残したくないな」という「欲求」のことらしい。それがなんでお喋りの対象になるのかというと、「負の性欲」という言葉を使うことによって、「俺を拒否したこいつに俺は負の性欲を向けられたんだな」という下卑た根性をぶら下げる男が増えるかららしい。けれども普通に考えてこの男は「負の性欲」という言葉の「性欲」という言葉を通常の意味でとるという誤解をしているし、この誤解した男が生まれると主張しているフェミ共も誤解しているんだろう。
 「性欲」という言葉は通常、相手とセックスをしたいときに使われる言葉なので、「負の」という形容をしても、そういった通常の意味を喚起させるから問題なんだろう。そういう意味でここで「性欲」という言葉を使うのがこの概念を使う上で適切なのかはどうか微妙だ。生殖欲、負の生殖欲、とすれば議論がスッキリするんじゃないかと、僕は思う。

 ハァ、クソどうでもいい。こういったお喋りが毎日毎日飽きることもなく繰り返されている。みんな誰かと戦っている。

 小学生の頃、ずっこけ三人組という児童向けの本で、面白い話を読んだ。細部までは覚えていないんだけれど、三人組が洞窟に入ると、怪しげな村があって、そこには大きな祭壇があり、神様が祭られている。村人は神様を物凄く大事に扱っていて、その敬虔さに三人組はちょっと引く。1年に1度の祭りがあるというので、三人組がその祭りを見学すると、村人は「お前のせいで米が不作だった」だとか「お前のせいで嫁に出ていかれた」などと呪詛のかぎりを尽くす。そしてスッキリした村人は、また一年間、安定した秩序のもとで平和に暮らす。
 こんな話だったと思う。「負の性欲という言葉を使って興奮するキモいおじさん」とか「女子高生と中年の恋愛漫画に抗議をするフェミニスト」とか「半日教育ばかりされてる野蛮な韓国人」とかそういう概念と戦うよりも、よっぽど健全というか、合理的だと思う。よく言われる話だけれど、宇宙人が地球を侵略しにくれば、戦争はなくなる。「魔王」がいるからみんなが団結する。
 
 訳知り顔でTwitterで延々とお喋りをしている人間は僕は嫌いだ。阿呆に見える。どうでもいいことしか喋っていない。「結局死ぬのになぜ生きるのか」「なぜ自殺しないのか」以外のお喋りは全部ゴミだ。なんの役にも立たない。
 「死」がみんなが団結して倒そうとする「魔王」になればいいのになあと思う。死は人類全員の普遍的な敵なのだから

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